また、Xperiaらしい本体デザインも魅力的。ガラス製のボディは非常に美しく輝き、物欲を大いに刺激します。高性能なスマホの購入を検討しているユーザーは注目のモデルです。製品は大手3キャリアから発売されますが、今回はNTTドコモ版(SO-01L)をレビューしていきます。

6インチながらスリムで持ちやすい本体

Xperia XZ3は、6インチの大画面モデルです。スペックを見るとかなり大きく感じますが、実物を手にするとスリムで持ちやすく感じます。参考にiPhone XS Maxとサイズや重量を比べてみましょう。 ディスプレイのサイズが違うので、大きさは当然違います。しかし、Xperia XZ3はかなり横幅が狭く、逆に縦に長いことがわかるでしょう。持ちやすいと感じるだけでなく、若干重いという印象を受けるのは、この細長さからくる重量バランスのためです。 ここまで細長いスタイルなのには、ちょっとした秘密があります。ディスプレイの左右の縁(フチ)がアールを描いているからです。いわゆる2.5Dガラスなどとは違い、もっと大きなアールを描いています。Galaxy Sシリーズなどと近いデザインだと思うとわかりやすいでしょう。 ディスプレイ面が曲がっているので、本体の横幅の割には画面が大きくなるわけです。逆に、平面な6インチディスプレイに比べると、左右がゆがんでいるため、見た目にはそう広く感じません。表示エリアという観点では、平面のディスプレイにはかないませんが、角(カド)の部分は光の反射が美しく、とても素敵な外観です。

有機ELを搭載したXperia XZ3

iPhone XS Max(左)と比べても横幅がスリムだ

カドのアールは光が当たった時にとても美しい

美しいデザインだがカメラや指紋センサーの位置が微妙

最近は画面占有率の高いスマホが増えています。Xperia XZ3は上下に大きめなフチがあるので、先進的なデザインとは言いがたいのが残念ですが、湾曲した画面が独自の外観となっています。 背面にもぜひ注目してください。液晶面と同じように4辺がアールを描いた独特のスタイルです。手にするととてもなじみがよく、また質感が高いので嬉しく感じるでしょう。厚みは1センチ近いのですが、周辺が薄いので分厚く感じることはありません。 今回は「ボルドーレッド」をレビューしていますが、色合いとしては赤というより紫に近いと感じるでしょう。とてもミステリアスで素敵なカラーです。他にも、ブラック、ホワイトシルバー、フォレストグーリンの計4色を展開します。 背面とディスプレイ両方ともゴリラガラス5を採用しています。コーニング社の強度の高いガラスで、最新のモデルです。前背面とも非常に美しいデザインで、できるならカバーを付けずに使いたいところですが、ガラス製のボディは滑るためおすすめはしません。ゴリラガラスはとても固いのですが、割れないわけではありませんし、落とせば傷も付きます。 実際に使ってみて、少々違和感を感じたのがカメラや指紋センサーの位置です。指紋センサーは背面の真ん中近くにあり、カメラも他のスマホに比べるとかなり下の方です。本体の下の方を持つとどちらもいい位置なのですが、通常のスマホと同じ感覚で使うと、レンズを指で隠したり、指紋センサーが使いづらく感じるかもしれません。

背面は美しいガラス製。指紋センサーやカメラの位置がやや下になる

右のXperia XZ3は、ディスプレイの上下に大きめのフチがある

有機ELディスプレイをiPhone XS Maxと比較

Xperia XZ3の最大のトピックが、有機ELディスプレイを採用したことです。ソニーのテレビブランド「ブラビア」の技術を生かした高画質が特徴です。確かに、とても美しく、黒の引き締まった画質です。 写真も鮮やかに美しく表示できるのですが、iPhone XS Maxと比べると輝度が劣っています。画質の良し悪しは好みによっても左右されますが、輝度は明るいほうが間違いなく優れています。特に明るい屋外で利用する際には、輝度が高くないと見づらく感じるのです。 また、解像度は2880×1440ドットです。iPhone XS Maxは2688×1242ドットなので、Xperia XZ3がやや勝っています。ただし、どちらも超高解像度なので、普通に使っているぶんには解像度の差は感じないでしょう。iPhone XS Maxと比べるとやや分が悪いものの、他のAndroidスマートフォンとの比較では相当に美しいと感じるはずです。

左のiPhone XS Maxと比べると明るさが劣っている

斜めから見ても色合いが変わりにくいのが有機ELのよいところだが、やはり明るさは差がある

音質は素晴らしく、フルセグなど全部入りも嬉しい

前モデルのXperia XZ2と比べると2割音量をアップしたというスピーカーは、確かに大きく良い音です。上下にスピーカーがあるので、画面を横にして映画などを視聴している際にも、ステレオ感が抜群です。また、ソニーがこだわっているハイレゾにも対応しており、moraからのダウンロードなど、ハイレゾデータも扱いやすいのはさすがです。 ただし、イヤホン端子は廃止されているので、すでに持っているハイレゾ対応のイヤホンやヘッドフォンを使う際には、付属のアダプターを利用する必要があるのがちょっと面倒です。なお、イヤホンとACアダプターは付属せず、自分で用意する必要があります。ストレージは64GBと、多くの写真や動画、容量の大きなデータの保存には物足りませんが、microSDカードに対応するため、増設すれば不足することはありません。 付属の変換アダプターは、テレビを見る際のアンテナとしても機能します。国内モデルらしく、いわゆる“全部入り”です。テレビはワンセグ・フルセグが視聴でき、おサイフケータイ、防水、ワイヤレス充電にも対応しています。オリンピックを美しい画面のスマホで見たい人にはおすすめです。

付属のアダプターはテレビのアンテナを兼用している

音声に合わせて本体が振動する「ダイナミックバイブレーション」機能も搭載する

4GB RAMにとどまるが性能は文句なし

パフォーマンスは素晴らしく、アプリを使っていてもサクサクと気持ちがよいほどです。ベンチマークの値も文句なしで、ハイエンドモデルらしいスペックと言えます。2〜3年は満足して使えること間違いないです。 とはいえ、今シーズンの上位モデルはほぼ同様の性能なので、特別に秀でているわけではありません。気になるのがRAMが4GBにとどまることです。上位モデルは6GB以上を搭載している製品もあります。たとえば、HUAWEI P20 Proのメモリは6GBです。 メモリは多くのアプリを同時に利用する際にたくさん必要になります。4GBでも、処理が遅く感じられるようなことは今のところあまりないでしょう。しかし数年後に、ゲームをプレイしながら動画再生に切り替えて視聴するような使い方をすると、厳しくなるかもしれません。

性能は文句なしで、ベンチマークの値も立派だ

カメラはシングルでスナップ写真には十分

Xperia XZ3のカメラはシングルで、イメージセンサー、画像処理エンジン、レンズをすべて自社開発しているとのこと。1920万画素とハイスペックで、日常のスナップ撮影には十分以上のクオリティです。ただし、iPhone XS Maxと比較してみると、今回の被写体ではやや及ばないように感じられました。 Xperiaの上位モデルが最初に搭載しはじめたスーパースローなど独特の機能が楽しめますが、最近トレンドになっている背景をぼかすことができない点は残念です。

通常撮影

Xperia XZ3は、全体がやや暗い割に背景の空が白飛びしているのが残念です。

近接撮影

花の写真はどちらも美しく撮れました。iPhone XS Maxのほうがやや明るめです。

暗所撮影

夜景を撮影しましたが、こちらはiPhoneのほうが優れているように感じられます。明るく撮れていますし、細部も潰れていません。

まとめ

Xperia XZ3の価格は、NTTドコモの新規契約・一括払いで10万7568円となっています。iPhone XS Maxほどではありませんが、高価な上位モデルと考えて間違いありません。このクラスのスマホを手に入れたいユーザーにも、満足できる性能とデザインといえるでしょう。本体の質感も文句なしです。 カメラの性能にこだわる場合は、他のモデルとよく比べて選択することをおすすめします。Xperia XZ3のシングルカメラが悪いわけではありません。しかし、デュアルカメラを搭載している機種は、ズームやワイド撮影などそれぞれ特徴を出しているのと比べると、やや見劣りします。 構成・文:戸田覚 編集:アプリオ編集部