Microsoft製アプリ「Office Lens」は、ホワイトボードや書類を撮影するだけでデジタル化できるスキャナアプリです。写真を撮影すると、画像のトリミングや画質調整を自動で実行し、読みやすいデジタルデータとして保存できます。 スキャナアプリは数多くありますが、Office LensはMicrosoftのアプリらしく、OneDriveやOneNoteとの連携が強力です。OCR機能も備えており、読み取った書類をOneDriveやOneNote上で検索できるのが特徴です。
書類やホワイトボードをきれいに保存
Office Lensの使い方は簡単。撮りたい被写体に合わせて撮影モードを切り替え、シャッターを押すだけです。
撮影モードは、「名刺」「写真」「ドキュメント」「ホワイトボード」の4種類。おもに使うのは「ドキュメント」と「ホワイトボード」の2つです。 「名刺」はMicrosoftのサポートページによれば日本語に非対応(認識できますが、後述のように使い勝手がよくありません)。また「写真」は、風景や人物の撮影に適したモードです。ということで、スキャナとして使うなら「ドキュメント」か「ホワイトボード」のいずれかになります。 通常の書類は「ドキュメント」で撮影しますが、ホワイトボードや黒板、さらにノートを撮影するときは「ホワイトボード」が適しています。背景の明るさや色味が抑えられるので、文字が読みやすくなります。
左:シャッターを押すとすぐに加工。ホワイトボードが見やすくなりました右:撮影後にモードを切り替え可能(例:「ホワイトボード」→「ドキュメント」) ホワイトボードや書類をカメラで撮影すると、トリミングや画質の調節を自動でおこない、撮影した写真を表示します。斜めから撮影しても歪みをきれいに補正して、真上から撮影したように加工してくれます。書類などを真上から撮影しようとすると、スマートフォンや自分の影が写り込んてしまうことがよくありますが、Office Lensなら影のできない角度から撮影して、読み取りやすいデジタルデータを得られます。
書類の中に枠があると、枠内をトリミングすることがあります。雑誌や新聞のスクラップなどに便利そうですが、意図せず切り取られた場合は手動で修正できます。取り込んだ書類は回転することも可能です。 [完了]をタップすると、保存画面になります。タイトルは自動で入力されます。
OneNoteやOneDriveと連携させれば便利度が加速
Office LensではOCRを搭載しており、テキストを編集したいときはWord形式、検索して取り出すことがあるならPDF、画像メモを保存するならOneNoteというように、目的によってファイル形式や保存場所を選べます。WordやPowerPoint形式で保存した場合は、Office LensやOneDriveアプリから開いて編集できます。
左:OneNoteやOneDriveとの連携が強力右:他サービスにもエクスポートできる 少しわかりにくいのですが、端末のストレージや「OneNote」「OneDrive」を選ぶと、それぞれの保存場所に画像形式(JPG)で保存されます。そして「Word」と「PowerPoint」を選んだ場合は、各ファイル形式に変換されたあと、「OneDrive」(の「Office Lens」フォルダ)に保存されます。「PDF」を選んだ場合、iOSでは保存場所に「OneDrive」か「Phone Storage」(アプリ内の領域)が選べますが、Androidでは端末のストレージに保存されます。なお、OneDriveやOneNoteに初めて保存するときはサインインが必要です。ただしアプリがインストールされていればその必要はありません。 共有機能を利用して、他のオンラインストレージなどへ保存することも可能です(画像で保存されます)。
OCR機能はまずまずの認識精度
OCR機能を試したところ、英単語のいくつかは誤認識しましたが、日本語の認識精度は高く、インクジェットプリンタで出力した10ポイントの小さな文字もきれいに読み取ってくれました。PDFで保存しても、検索やテキストのコピーが可能なので、あとで参照するファイルを保存したいときはなにかと便利です。 PowerPoint形式で取り込むと、画像と一緒に図形などをベクターオブジェクトに変換して取り込むことができます。手書きの図などを取り込むのに最適です。
左:Word形式で保存したファイルを開いた。「Office」という単語を上手く読み取れなかったが、日本語の認識精度は高く、すぐに編集できる。画像も一緒に保存される右:PDFで保存したファイルはテキスト検索できる ところで名刺ですが、前述のとおり日本語には非対応です。一応認識はするものの、精度的に物足りません。また連絡先に出力できずあまり実用的ではありません。
名刺の保存先をOneNoteにすると、データと画像が保存される。きちんと読み取れていればリンクから電話やメールを呼び出せる。
Microsoft Pixとの使い分けは?
Microsoftには「Microsoft Pix」というカメラアプリがあります。Office Lensと同様のスキャナ機能を持ち、ホワイトボードや書類をきれいに取り込むことができます。
Microsoft Pixのスキャナ機能 最強の無音カメラアプリ? AIが綺麗な写真を残してくれる「Microsoft Pix」 撮影機能がほぼ同じなら、気に入っているほうを使えばいいのでしょうか? 結論から言うと、Microsoft PixはOffice Lensの代わりにはなりません。Microsoft Pixで保存できるのは画像形式に限られるからです。編集可能なテキストや全文検索で書類を取り出すことがあるなら、PDFやWord、PowerPoint形式で保存できるOffice Lensがおすすめです。