携帯電話大手3社が下取りしたスマホの流通実態について総務省と公正取引委員会が調査に乗り出したことが、今年の1月にニュースになっています。安価な中古スマホを普及させるための施策だと思われますが、中古スマホ市場が活性化する要因になりそうです。 最近はスマホが高性能化し、使える期間も長くなりました。一昔前までは2年も使えば買い換えを考えるところですが、いまは3〜4年は当たり前に使えます。このあたりも、中古スマホが増えてきそうな予感につながります。 本記事では、中古スマホ市場で人気のあるiPhoneの選び方・買い方や、購入後の注意点などを解説します。実例として、IIJmioが2019年7月4日から取り扱い開始した中古iPhoneについても取材しています。IIJmioの中古iPhoneは大変な人気で、即日完売しています。
なぜ中古スマホはiPhoneがおすすめなのか
中古スマホを買うなら、iPhoneがおすすめです。まず、日本では4割以上のユーザーが使っているといわれ、流通量が圧倒的です。さまざまなモデルが手に入り、ストレージの容量や色なども選べます。流通量が多ければ、新品に近い美品から多少傷が付いていても安価なものまで、状態でも選べるわけです。 iPhoneは、最新のOSが多くのモデルで使えるのがポイントです。iOS 12は、なんとiPhone 5sやiPhone SEでも利用可能です。もっとも、これからiPhone 5sを買うのはおすすめしませんが、iPhone 7あたりを手に入れても2〜3年は新しいOSで快適に使えるでしょう。Androidスマートフォンは、OSのアップデートに対応しても1〜2回程度にとどまる製品がほとんどです。 また、iPhoneは修理しやすい点も見逃せません。Androidスマホのキャリアモデルは、キャリアによる修理受付になります。店頭かオンラインで修理ができますが時間が掛かります。iPhoneなら全国のアップルストアや正規サービスプロバイダで修理を受け付けており、ほとんどの場合がその場で直せます。また、サードパーティの修理業者も数多く、古いモデルなら予算を抑えて直すことも可能です。
IIJmioの中古iPhoneは即日完売の人気だった
中古iPhoneを選ぶときのチェックポイント
基本的に、新製品に近く、利用頻度の低い商品ほど故障のリスクは少なくなります。利用された期間が短いほうが壊れる可能性が低いのは、自動車などさまざまな製品で同様です。古くてもあまり使われていないモデルを見つければ、故障の可能性は低くなりますが、スマホの場合は中古車の走行距離のようなデータがないので判断が付きません。
iPhone 7なら2年は快適に使える
新品に近いiPhone XSやiPhone XRは、これから購入しても長く使えます。ただし、価格はそれなりに高くなります。IIJmioの場合、iPhone XSは64GBで10万9800円です。 逆に、多少のリスクを受け入れてやや古いモデルを買うのも悪くありません。同じくIIJmioの場合は、iPhone 7の128GBモデルが4万4800円です。 これから買うなら、iPhone 7以降のモデルをおすすめします。せめて2年間は快適に使いたいからです。iPhone XSなら3〜4年は満足して使えるでしょう。
IIJmioの商品は専用の箱で届く
中古のiPhone 7(状態チェックは後述)
中古iPhoneの状態について
傷を気にするかどうかは、買い手の判断によります。当然ですが、傷があるほうが安く買えます。「どうせ使っているうちに傷が付くのだから気にしない」という人は安く買えます。 ただし、ディスプレイの傷は画面割れの元になるので避けるべきです。また、傷があるということは全体的に粗く使われている可能性が高くなります。結果、故障率も向上するはずです。 IIJmioは、リユースモバイル・ジャパン(RMJ)が定めた5段階の評価基準でA以上の商品を提供しています。RMJの外装評価は以下の通り。 今回は、実際にIIJmioが販売する中古iPhone 7の状態をチェックしてみました。
遠くから見ると新品同様の美しさ
よく目にすることになる本体上部にはほとんど傷はなかった
下部には小さな傷がある。写真でアップにすると目立つが、実際はほとんど気にならない。これ以上を望むなら新品を買おう
中古iPhoneは「買い方」も重要
中古のiPhoneは、1台1台状態が異なります。古いモデルほど店頭で確認して買うほうが安心です。ほぼ新品同様とされている商品は、通販で買っても残念な状態であることは少ないでしょう。 多少の傷を許容したほうが、実は自分の納得度と価格のバランスは取りやすくなります。新品同様だと価格も新品に近づくので、中古を買う意味がなくなります。 できるだけ状態を確認したいのですが、遠方在住の人や忙しくて時間が取れない人は通販で買わざるを得ません。その場合には、自分で確認できないことを前提に規約などをしっかり確認しておきます。
ネットワーク利用制限
ネットワーク利用制限(通信会社により通信機能を止められた状態)がかかったら、全額返金もしくは換金されるのは業界の常識です。最初に購入したユーザー(前の持ち主)が端末代金を完済していないと、通信ができなくなってしまうのです。
保証期間と返品対応
保証期間と対応も確認してください。IIJmioは保証期間が30日で、保証内容も明確にされています。ただし、BluetoothやWi-Fiが使えない場合には対象外になっています。つまり、購入して届いた商品が初期不良でBluetoothの通信ができなくても、返品はできないのです。 このあたりは、念のために販売店に確認してから買ったほうがよいでしょう。IIJmioはまだ取り扱いをはじめて間がないために、なるべくユーザーの満足度を上げるように努力をしていくとのことです。 基本的には、「購入直後にすべての機能が使える」ことが前提になっているショップが安心です。中古スマホ販売で有名なイオシスは、未使用品は6カ月、他のランクは3カ月保証となっています。購入前に保証の範囲と期間はしっかり把握しておきましょう。
支払い方法
IIJmioは価格的にはライバルより高いが、24回払い対応が魅力 なお、IIJmioは24回の分割払いに対応しています。金利も掛からないので、高価な商品を割賦で買いたい人には魅力的です。実際に、購入者は分割払いのユーザーが多いそうです。 単に目先の価格だけを見るのではなく、自分の買い方を考えてトータルでリーズナブルに、安心して買えるショップを探してください。
中古iPhone購入後はバッテリー交換と保証に注意
中古iPhoneの購入後に直面しそうな問題について、あらかじめ考えておきましょう。具体的には、バッテリー交換と保証です。
バッテリー交換
基本的に、中古スマホの場合はバッテリーは消耗品と考えます。充電が持たなくても保証の範囲に入りません。iPhone XSなどの新しいモデルでも、利用時間が6〜7割になっていることがあるでしょう。iPhone 7なら、3〜4時間で切れてしまうほど消耗しているケースもあります。 ここは中古なので、割り切ってサードパーティの修理店でバッテリーを交換してもよいでしょう。予算として、購入直後のバッテリー交換までを視野に入れて手に入れてください。 なおiPhoneの場合、中古でもAppleストアなどの正規店で修理できるので心配はありません。ただし、パーツが純正以外に交換されているために修理ができないケースもあります。その場合の対応も確認しておきましょう。
購入後の保証
気をつけたいのが保証です。販売店の保証が切れたら、すべて有償の修理になります。基盤が故障すると、本体価格並みの修理代がかかります。末永く使いたいなら、中古でも入れるスマホ保険などへの加入も検討すべきでしょう。 ただし月々500円の保険に2年入ると、計1万2000円もかかります。その分、新しいモデルを買ったほうが壊れない可能性もあるので、そこはユーザーの判断になります。 言うまでもありませんが、中古iPhoneを買っても必ずバックアップを取っておいてください。故障の可能性は新品よりは高くなるので、修理の際にデータを失わないように準備しておくべきです。
まとめ
中古のiPhoneはかなりおすすめです。しかし、「必ずiPhoneが欲しい」というユーザー以外は、Androidスマートフォンも併せて検討したほうがよいでしょう。 たとえばiPhone 7の中古を買うなら、ほぼ同じ予算でPixel 3aの新品が手に入ります。他にもミッドレンジのAndroidスマートフォンなら、最新モデルでも数多く選択できます。 構成・文:戸田覚 取材協力:IIJ 編集:アプリオ編集部