外観
今回の「INFOBAR A02」では、前作にあった端末前面の物理キーはなくなり、約4.7インチのディスプレイを全体に配している。液晶の3Dガラスはアルミフレームのボディと滑らかな曲線で結ばれ、手になじみやすく機能的なデザインに仕上がった。
物理キーは側面に設置され、音量調節ボタンのほか、様々な場面で役立つ「ファンクションキー」も備える。写真・音楽・動画・書籍などよく使う機能にすばやくアクセスできるだけでなく、カメラ撮影時にはシャッター、着信時には応答・終話、画面のON/OFFなど、便利ボタンとして活用できるのが嬉しい。 背面下部には、切り欠きが入っている。バッテリーカバーやUSBキャップを開ける時に指かかりになるだけでなく、スピーカーホール、さらにはストラップホールとしても機能するという。
ボディカラーはNISHIKIGOI(赤ベース)、ICE GRAY(白ベース)、AOAO(青ベース)の3色が用意され、アルミフレームの切り替え部と3つのサイドキーへの挿し色により、INFOBARならではの配色をさりげなく表現している。 なお、専用アクセサリーとして本体カバーも別売で用意されている。本体デザイナーである深澤直人氏によるオリジナルデザインカバーに加え、ドイツのデザインスタジオのKapitza、ロンドン発のクリエイティブ会社Airside Nipponがとのコラボカバーなど、多彩なラインナップが展開される。
ユーザーインターフェイス
従来のスマートフォンのデザインは、一つの端末でも、ハードとソフト(プロダクトとUI)それぞれのデザインが別々に存在してきたところがある。しかし「INFOBAR A02」では、プロダクトデザイナーの深澤直人氏が端末デザインを、インターフェイスデザイナーの中村勇吾氏がUIを担当しつつも、二人の協働によりそれらを隔たりなく同調させ、「一つの塊」としてデザインされているという。 例えば、サイドキーの高さとiida UI 2.0によるホーム画面のパネルは高さが揃っていることなどは、エクステリアとUIをシンクロさせた、上記のデザイン思想を反映しているといえるだろう。
そんな「iida UI 2.0」だが、今回もパネルがベース。音楽、写真、書籍、SNSなどのアプリやウィジェットをパネル化して貼り付け、縦スクロールで表示させるスタイルとなっている。 パネルは家族や友だちの情報や、お気に入りの写真、今ハマっている音楽、読みかけの本など、自由にレイアウトして簡単にオリジナル画面が表現可能。配置したパネルは、タッチするごとにサイズを変更したりドラッグ移動したりして、直感的なカスタマイズができる。次々と入れ替えながら、自分らしいホーム画面を表現できそうだ。 パネルからは直接、友だちなどへの電話やメール発信、各種SNSのタイムラインの表示、楽曲再生などが行え、機能的にも利便性の高いものとなっている。
有機的で柔らかいアニメーションも大きな特徴だ。画面スクロール時などに、ゼリーのようなぷにぷにとした効果を演出することで、独特の心地よさを楽しめる。コーネリアスの小山田圭吾氏の手によってサウンドデザインされた効果音が、その浮遊感を引き立てている。 サウンドも凝っている。例えば、パネル移動時の効果音は、各パネルにランダムに6つの異なる音色が割り当てられ、パネル同士が触れ合う際に美しい音の重なりとなるようプログラムされているという。なお、効果音だけでなく着信音も、コーネリアスによるものだ。
機能面
ディスプレイは、4.7インチHDサイズ(1280×720)のCG-Silicon液晶を搭載。チップセットはQualcomm Snapdragon S4 Pro APQ8064(1.5GHz クアッドコア)を採用し、「HTC J butterfly」と同じ構成だ。メモリは1GB、内蔵ストレージは16GB、外部メモリーは最大32GBのmicroSDHCをサポートする。
カメラも「HTC J butterfly」と同じもので、メインカメラは800万画素の裏面照射型CMOSで、薄暗い場所にも強いF値2.0、もちろん連写機能も搭載。サブカメラは88度という広角のレンズを採用しており、自分撮りで4~5人程度までフレームに収めることができる。 下記動画でも試しているが、スペック面ではそう期待していなかっただけに、「HTC J butterfly」の高性能なカメラ機能が採用されているのは大きいと感じた。また、音楽再生については、「Beat Audio」により、重低音とクリアなサウンドを楽しめる。 バッテリー容量は2100mAhで、LTEでの連続待受時間は約430時間、3Gでの通話時間は約900分。通信は4G LTE(下り最大75Mbps、上り最大25Mbps)に対応。防水・防塵(IPX5,7/IP5X相当)、おサイフケータイ(FeliCa)、NFC(TypeA/B)、テザリング、ワンセグ、赤外線通信、Bluetooth 4.0などをサポートする。 サイズは約70×138×9.7mm、重さは約147g。発売は2月中旬以降、関東・沖縄から順次開始される。
INFOBAR A02を動画でチェック
実際に触ってみると、レスポンスの速さに加え、スライド時などのアニメーション効果を実に滑らかに表現しており、さすがHTC製という印象。メモリこそ1GBだが、無理のない一般的な用途においては特に問題なく動くとみてよさそうだ。 展示会場の説明員はこうした点について、HTCだからこそ実現できた完成度だとしながら、INFOBARのようなモデルにおいて、あえて海外メーカーと組むこと、また製造元を明示することは珍しいケース、と話していた。 新インターフェイス「iida UI 2.0」は、操作が非常に直感的で、やりたいことが思いのままできる感覚が楽しい。これまで、スペックや外観ばかりで差別化がはかられてきたスマートフォンだが、最近はその差も見い出しづらくなってきた。そんな中で、「INFOBAR A02」はUIという新しい価値観を持ち込み、スマートフォンの次のステージを感じさせてくれるモデルとなっている。