それは、地球から遠く離れた惑星でも同じようです。マーベル・シリーズの、宇宙を股にかけて活躍するお尋ね者ヒーローを描く『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』最新作は、ホリデースペシャルと称して、遊び心満載のハートウォーミングなプレゼント大作戦を描きます。 本作のストーリーは、地球人のピーターのために、ちょっと天然ボケなマンティスとドラックスのコンビが、地球のヒーロー「ケヴィン・ベーコン」をプレゼントするというもの。ケヴィン・ベーコンとは、もちろん映画俳優のケヴィン・ベーコンその人。なんと本人役で出演しているのです。 マーベル映画と現実の融合もここまできたか、という感じですが、そんな奇想天外な発想からは想像もつかないほどに心温まるストーリーが展開され、思わず涙腺が緩くなってしまうのです。 彼が一番喜ぶプレゼントはなんだろうと、マンティスとドラックスは考えます。そこで2人は、ピーターがかつて地球のヒーローだと言っていたケヴィン・ベーコンをプレゼントしようと思いつくのです。 さっそく地球のハリウッドに向かうマンティスとドラックスですが、どこに行けばケヴィン・ベーコンに会えるのかわかりません。人の多いナイトクラブに行ってみたり、ハリウッド通りで観光地と戯れたりと地球のクリスマスをひとしきり満喫しながら、ケヴィン・ベーコンにたどり着きます。突然、角の生えた異星人が来訪したことでパニックになるケヴィン・ベーコンですが、マンティスは彼に暗示をかけ、誘拐に成功。自分たちの惑星に連れ帰ってしまうのです。 今回の物語の主役は、マンティスとドラックスです。この2人がクリスマスシーズンのハリウッドで爆笑珍道中を繰り広げるのが見どころです。ケヴィン・ベーコン探しも、ハリウッド観光では定番のスター豪邸マップを頼りにおこないます。さらには、ケヴィン・ベーコン宅のクリスマスの飾りを勝手に持っていこうとしたりとやりたい放題。 でも、そんなめちゃくちゃな行動もすべてピーターのためを思ってのこと。マンティスというキャラクターの掘り下げにもなっており、ホリデー・スペシャルの44分と短めの作品とはいえ、本編の物語に関わってくる要素もほのめかされていて、ファンには必見の作品になっています。 ケヴィン・ベーコンとは、ハリウッドのベテラン俳優で、個性的な役柄を演じることに定評があります。アクの強い悪役も得意にしており、多くの映画で強烈な存在感を放ってきました。 俳優業だけでなく音楽活動も行っており、兄のマイケル・ベーコンと一緒にザ・ベーコンブラザーズというバンドを組んでいます。本作でもケヴィン・ベーコンは1曲披露しており、ミュージシャンとしてのケヴィン・ベーコンが堪能できる貴重な機会になっています。 本作でケヴィン・ベーコンは本人役を演じているわけですが、ピーターが憧れたのは映画の中のケヴィン・ベーコンです。ドラックスたちは映画の中で架空の人物になる意味を理解しておらず、俳優をただの嘘つきだと思っているのですが、空想の物語に救われることは誰にでもあるはずです。ピーターは間違いなく空想の物語に勇気づけられたのであり、それが嘘であっても気持ちは本物です。 本作の監督ジェームズ・ガンもオタク気質な人なので、きっとそんな風に物語にたくさん救われてきたのでしょう。そう考えると本作は、ジェームズ・ガンからすべての物語を愛する人へのプレゼントなのかもしれません。物語は良いものだと改めて思わせてくれる作品です。 © 2022 Disney and related entities.