ワイモバイルやSIMフリースマホが好調

全国の主要家電量販店などの実売データを集計するBCNランキングによると、2016年2月のスマホ販売台数は同年1月に比べ52.1%(47.9ポイント減)となり、前年同月比でも82.5%(17.5ポイント減)と大幅にダウンしました。 2015年12月や2016年1月は、駆け込みの割引キャンペーンが実施されたり、2月以降に端末価格が値上がりするのではないかとの観測が消費者に広まったりしたことから、一時的に販売は活性化。スマホの販売台数は、前年比で12月が115.6%、1月が138.6%と大きく伸長していました。

ところが2月に「実質0円」が終息した後は、前年比で82.5%と販売台数は急激に落ち込み、キャリア別ではドコモが68.6%、auが67.6%、ソフトバンクが77.0%と軒並み3割前後の前年割れという結果になりました。 そうした中、販売台数を伸ばしたのがソフトバンク傘下のワイモバイル。1月に前年比155.4%となったことに加え、2月も同170.2%とさらに拡大しました。3大キャリアと異なる料金体系で比較的安価であることが、販売好調の要因ではないかとみられています。 また、いわゆる格安スマホを中心としたSIMフリースマホの販売台数も2月に前年比156.3%と大きく伸びており、スマホ全体に占めるSIMフリースマホの販売台数シェアは17.9%と過去最大を記録しています。 これら販売動向からは、実質0円の廃止がきっかけになり、ユーザーがスマホ価格に対してより敏感になっている様子をうかがうことができます。

実質0円がなくなったiPhoneはどうなるか

このように、スマホに抱くユーザーの値ごろ感の変化を顕著に表した端末がiPhoneです。1月の駆け込み購入で前年比66.2ポイント増と最も販売台数が伸びたのがアップルでしたが、実質0円がなくなった2月は前年比28.1ポイント減と販売台数が大きく縮小しました。 メーカー別シェアでは依然アップルがトップ独走であるものの、1月に62.8%あったシェアは2月に45.7%に急減。主因はこれまで実質0円の対象だったiPhone 6の大幅な販売減と指摘されています(当然、反動減の側面もあるでしょう)。 相対的にソニーモバイル、シャープ、京セラがシェアを伸ばすとともに(ソニーモバイルは販売数では前年比58.3%と低調ですが)、SIMフリースマホを供給するファーウェイ、富士通、プラスワン・マーケティングらも販売台数が好調に推移しています。

ところで、先日IDCが公表した国内携帯電話・スマートフォン市場実績値に関するレポートでは、キャリア各社は契約者向けのコンテンツサービスなどが伸びて利用単価が上昇し、好業績をあげていることを背景に、以前のような過度のスマホ買い替えを追う必要がなくなりつつあると指摘されています。 そのため、端末販売や価格設定に関するイニシアティブは、iPhoneを中心に、メーカー側からキャリアへ移っていくと考察。これまで最も実質0円の後ろ盾を受けていたといえるiPhone(アップル)は、今後難しい販売環境に置かれる可能性が示唆されています。 スマホ普及が進み飽和感のある中で、IDCやBCNのレポートでも、すでに2015年第4四半期からiPhoneやXperiaなど高級機の不振が表れています。SIMフリースマホやMVNOの台頭、そして実質0円廃止をはじめとしたユーザーの意識変化によって、高価格帯のスマホは苦戦を強いられることになりそうです。 先日発表された「Xperia X」シリーズや、間もなく登場する見込みの「iPhone SE」が春以降、国内でも順次投入されていくと思われますが、これらは従来フラッグシップより“控え目”モデルという印象もあり、マーケット環境を踏まえながら、どのような価格帯で販売されるのか注目されます。